1次元GDを用いた異常音検出ソフトウェア

このソフトウェアの第1画面では、数種類のクラスタ(運転モード)ごとに稼働中の機械が発する正常音の音響波形を予め登録し、次にLPC(Linear Predictive Coefficient 線形予測係数)スペクトル分析法を用いて、それぞれの音響波形からスペクトルパターン(標準パターン)を抽出します。
ソフトウェアの第2画面では、稼働中の機械が発する監視音から周期的に音響波形を切り出し、この音響波形からスペクトルパターン(入力パターン)を抽出します。次に類似性尺度(1次元GD)を用いて、入力パターンと標準パターンの間の類似の程度を数値化し、入力パターンの異常を判定します。

以下において、モーター音の例を用いて処理の流れを説明します。

処理手順

標準パターンの登録:

図1に示す第1画面において、数種類(2~14)のクラスタ(運転モード)ごとに機械が発する正常音の複数の音響波形を登録します。次にソフトウェアはLPCスペクトル分析法を用いて、それぞれの音響波形からスペクトルパターン(標準パターン)を抽出します。
この画面では、標準パターンのスペクトル画像が表示され、音響波形の再生音がスピーカから出力されます。

図1 標準パターンの登録(第1画面)

入力パターンの判定:

図2に示す第2画面においてソフトウェアは、稼働中の機械が発する監視音から周期的に音響波形を切り出し、この音響波形からスペクトルパターン(入力パターン)を抽出して画面の上段に表示します。
次にソフトウェアは、1次元GDを用いて、第1画面で登録されたすべての正常音のスペクトルパターン(標準パターン)と監視音のスペクトルパターン(入力パターン)をそれぞれ比較し、入力パターンから最小距離をもつ標準パターンを画面の中段に表示します。さらに判定結果として、その標準パターンの名前を画面の下段に表示し、最小距離の値を右側の棒グラフに示します。

最小距離の値が任意に設定した閾値よりも大きいとき、ソフトウェアは監視音がすべての正常音とは異なると判定して異常信号を出力します。

第1画面では、すべての運転モードの正常音を登録します。異常音が入手できる場合には異常音を登録し、異常音が入手できない場合には登録しなくても構いません。

図2 入力パターンの判定(第2画面)